武蔵新城の動物病院なら めい動物病院

as創刊25周年記念セミナー②『動物看護師としてどこまで動ける?プロとしての応急処置』

2014年8月21日に開催されたas創刊25周年記念セミナーの内容を以下にまとめます。

 

第2部講義

『動物看護師としてどこまで動ける?プロとしての応急処置』

 

●FAを勉強するきっかけ

・動物病院で勤務していた時も緊急医療に興味はあった。

・独立後体験した出来事が、FAを本格的に勉強するきっかけになった。

自分が動物看護師である以上、「器材がないから…」なんて言い訳にならない。どんな状況においても周囲にあるものを使って

救護できなければ胸を張って「動物看護師です」とは名乗れない!

 

●FAとは?①

FAとは“First Aid”(応急処置)のこと。その目的は…

現状以上に状態を悪化させないことつまり積極的な治療を目的とはしていない

 

●FAとは?②

唯一の例外は心肺停止(CPA)時の心肺蘇生(CPR)

CPRは本来「FA」ではありません。しかし、そのような命の危機にあるペットを放置することは動物看護師としてもヒトとしても

許されることではない、という考え方のもとCPRを行います。

Point!心肺脳蘇生(CPCR:cardio-pulmonary-cerebral-resuscitation)

 

●FAの基本①

1.)落ち着く→慌ててしまってはできることもできなくなります。

2.)安全確保を行う→救助者がケガをしてしまってはFAになりません。

3.)人に助けを求める→発する言葉に注意すること。

4.)動物の状況確認を的確に行う→「目視」の確認後、「触知」の確認を行います。

 

●FAの基本②

※動物の観察項目について

・目視→近づいた時の動物の様子。呼吸の有無、様子。舌の色、瞳孔、外傷の有無。

・触知→体の力の入り具合。体温、脈の様子。毛細血管再充満時間(CRT)

 

CPRについて

動物の状況確認によって、少しでもCPRの可能性があると判断したら、速やかに協力者を集めて以下に対応します。

・CPRの実施 ・搬送準備

 

●CPRの実施について①

※CPRは意識がなく、体の力が抜けている場合に実施する可能性があります。

①安置場所を考え、体位変換を行う

②気道確保

③脈拍と呼吸の確認→呼吸・脈拍なしCPR開始

※硬いところに寝かせ、挿管の時のようにして気道確保をする(右下に寝かせる)

 

●CPRの実施について②

基本  :『胸部圧迫』30回→『人工呼吸』2回を繰り返す。

注意事項:・できるだけ多くの人数で手分けして行う。

     ・胸部圧迫を止めていられる時間は5秒以内

     ・胸部圧迫は2分で交代する。

     ・脳への血流を優先的確保するために少し腰を高くしてCPRを行う。

 

●『胸部圧迫』について①

動物の大きさや胸郭の形によって圧迫部位を変える。

例)小型犬や中型犬、猫や胸郭の尖った犬では『心臓の位置』

例)大型犬や超大型犬では『胸郭の一番大きなところ』

※前ひじを曲げて、ひじの先がくるところが心臓の位置。

 

●『胸部圧迫』について②

動物の体の幅が1/2~1/3沈むくらいの強さで圧迫

大型犬などでは大きな力が必要となるため、ひじはしっかり伸ばして腰を支点に、上半身の体重をかけて行います。

犬や猫の場合には、100~120回/分の速さで行う

30回であれば、15~18秒で終わるスピードです。

圧迫:除脈=1:1で行う

圧迫と除脈を適切に繰り返すことで血流を生じさせることができます。

圧迫はやや動物の体腔に押し込むように行う

こうすることで、心室から圧迫することが可能となり、より自然に近い胸部圧迫が可能になります。

(胸部圧迫の間に腹部圧迫も加えると良いかも?)

 

●『人工呼吸』について

基本:「呼吸がない」「呼吸がおかしい」と感じたら開始する。

①首輪など、少しでも首を圧迫するものは外す。

②口を開けて中に何も詰まっていないか確認する。

③舌を少し出し、舌根沈下を防ぐ。

④息を吹き込むために気道確保の位置から少しだけ首を持ち上げる。

⑤鼻に口をつけ、息を吹き込む

→胸が膨らんでいるかどうか、目視で確認する。

 息を吹き込む時間は1秒間のみ

 息を吹き込んだら、必ず鼻から口を離す。

 

●搬送準備について①

基本:CPRを行っている間に協力者に搬送準備を行ってもらう。

①搬送する動物病院の確保

→現場でFAを行ったとしても、受け入れ先がなければ動物を助けることはできません。

 できるだけ近くの動物病院を確保します。

②タンカの作成や車の手配

→抱きかかえて徒歩での搬送は動物にも負担がかかります。

 

●搬送準備について②

動物病院が把握しておきたい事柄

①搬送者・飼い主の氏名

②動物の種類・大きさ・年齢(分かれば)

③原因(はっきりしている場合のみ)

④動物の状態

⑤病院到着予定時刻もしくは現在地

⑥行った(行っている)処置

 

●搬送準備について③

簡易タンカの作り方

≪準備するもの≫

・ほうき・物干し竿などの棒

・毛布やバスタオルなどの布

 

●搬送準備について④ー1

基本的には心拍が再開してから搬送する

ただし、CPRで状態が改善しない場合には動物病院で二次救命処置を受ける必要がありますので、その限りではありません。

 

動物を乗せる時は地面に置いて、振動を与えないように

タンカを宙に浮かせた状態で動物を乗せると、動物の重みで布がはだけて、動物が落下することがあります。

 

タンカを持ち上げる時には棒と布の境目をしっかり持つ

 タンカが正しく作られていない可能性も考え、万が一にも動物が落下しないための予防策として行います。


●搬送準備について④ー2

移動は動物の下半身側を進行方向にする

搬送は全員、進行方向を向いて行います。よって、後方の人が常に動物の状態を確認しやすいように動物を乗せます。


タンカはできるだけたくさんの人に持ってもらう

最低必要なのは2名ですが、人数がいるのであれば動物の確認や追加の処置の為にも搬送に加わってもらいます。

 

水平に揺らさずに移動する

タンカが斜めになったり揺れてしまうと、動物に負担がかかります。少しでも揺れを軽減するために、タンカを持つ前後の人が

違う足から歩き出すようにします。

point!:・看護師が後ろを持って前の人の足と反対に合わせるといい

    ・タンカを持つときは、布と棒の部分を一緒に持って運ぶこと!


                                                 AHT:竹内