今年の1月に外部で行われたセミナーに参加してきました。
そこで勉強してきた眼科の看護学と入院管理についてを以下にまとめます。
眼科の看護学
1 病気の予防・早期発見のアドバイス(眼(水晶体)が白い場合に考えられること)
・白内障
白内障とは眼の水晶体が白または灰白色に混濁した状態。水晶体の混濁は斑点の程度から全面を覆う白濁まで様々で、
初発・未熟・成熟・過熱白内障と四段階からなる。
若齢での白内障ほど進行が速く、眼内で炎症を引き起こし痛みが生じることもある。
ぶどう膜炎や緑内障の合併症を引き起こす可能性がある。
原因は外傷性、代謝性、中毒性、アレルギー性などがあげられるが、犬の場合先天性であることが多く手術をうける
年齢は5歳前後が多い。また、犬種別でみるとトイ・プードル、アメリカン・コッカー・スパニエル、キャバリアに
多くみられる。
・核硬化症
水晶体の繊維の増殖により古い繊維が圧縮された状態。(人で言うと老眼。)
7歳より高齢のほとんどの犬に認められるが視覚障害はほとんどなく、ぶどう膜炎も続発しないため治療の必要性は
あまりないとされる。
2 眼が見えないことへのアドバイス
・白内障による失明について
白内障による失明は内科治療では改善しないため、外科治療をするのか相談が必要。
・生活環境の整備
家具など張り出している箇所や先端が尖ったものがないか、ぶつかった際にケガなどしないよう普段生活している
環境を動物の目線で考え整える。また、家具の配置やお散歩コースなど憶えていることが多いためあまり変えない
ようにすることも大切。
・他の動物との接し方
眼が見えないと不安や急な物事の変化についていけず不安や恐怖心などから攻撃的になることもあるため、臭いをか
がせるなど他の存在を教えてから近づけるなどの工夫も必要。
3 点眼薬・点眼方法の指導
・点眼の成分
点眼薬=主成分+賦形剤
主成分…目的とする点眼薬としての薬効を果たす成分。
賦形剤…pH変動の防止や調整など主成分の安定化や安全性をはかり、点眼薬を涙液の生理的な状態に近づける。
添加剤のこと。
開封後の微生物汚染を防止するために保存剤(防腐剤)が入っているものが多いが、保存剤は角膜に負担を
かける恐れもある。
(使い切りタイプの点眼薬など、保存剤が入っていないタイプのものもあるが種類は少ない。)
・点眼剤の種類
眼軟膏剤と点眼剤の二つに分けられ、点眼剤は水性・非水性・懸濁性・乳濁性の四種類に分類される。
・点眼方法
(点眼前)
手をよく洗い、薬剤の間違いがないか確認する。
懸濁性点眼など、振る必要のあるものはそれに従う。
動物の場合、冷蔵保存のものをすぐに点眼されるのが嫌いな子が多いので少し手で温めてから点眼すると良い。
(点眼時)
点眼液の汚染を防ぐために先端を手で触れたり先端が睫毛や被毛、皮膚などに触れないようにする。
眼軟膏の場合、指の腹に薬剤をのせて行ってもよい。
(点眼後)
可能であれば目頭の辺りをしばらく圧迫する。圧迫することで点眼液の排出を抑え、全身的に吸収されるのを
減らすことができる。
眼の周りに溢れた点眼液も適宜拭き取り、眼瞼炎を予防する。
複数の点眼薬がある場合はそれぞれ数分程間隔をあける。
・点眼順のルール
1より効果を期待する点眼薬を後にする。
2水溶性より懸濁性、粘ちょう性点眼を後にする。
3点眼剤より眼軟膏を後にする。
・点眼薬使用上の注意
点眼薬と他の薬(点耳薬、外用薬など)との間違い。
点眼薬の種類の間違い。(キャップや袋の色で覚えている人も少なくないため)
左右や順序の間違い。
・点眼薬についてのまとめ
点眼薬の特徴を理解する…主成分の他に賦形剤も含まれており、副作用にも注意が必要であること。
正しい点眼方法…点眼瓶が眼球などに触れないよう衛生的に行うこと。
入院管理について
1 入院管理において必要なこと
・入院動物のケア(状態の把握と個々の管理プラン)
・入院室の管理(環境の整備や消毒、感染症対策)
くしゃみや咳などをしている場合には感染症も視野に入れて対応する(隔離室に移すなど)。
・飼い主の不安除去(入院中の状態など看護記録を伝える)
2 食餌管理
・給餌量や飲水量は正確に把握する(何をどれだけ食べたのか?接種カロリーはどれくらいか?など)
・常に新鮮な食餌が与えられるような工夫
・嗜好性を良くする工夫(温めて香りをつよめるなど)
・給餌の介助
3 投薬
投薬後は、30分~1時間程吐き出していないか確認する。
・食餌に混ぜる場合…食欲のある子に対して行い、飲み込むまで目を離さない。
また、粉薬の場合は少量の水や缶詰に混ぜて確実に投薬する。
・直接投薬する場合…ハンドリングに慣れた人が行い、投薬した後も薬を吐き出していないかの確認は必ず行う。
・外用薬の場合…投薬部位を正確に把握する。また、衛生的に行い、適切な温度で保管する。
‐感染症の場合は隔離室にて管理対応する。